オールドレンズで写す江戸東京たてもの園

文化的に価値の高い歴史的建造物を移築し、展示、保存する野外博物館、「江戸東京たてもの園」。ずっと前に行ってみたいと思っていましたが、ついぞ訪問することなく時間とともに忘れ去られていました。今般、ひょんなことから妻から提案があり、梅雨の真っ只中ですが初訪問を果たしてきました。

今回はレトロな雰囲気に期待してソ連製のオールドレンズ、KMZ Industar-50 50mm F3.5(КМЗ Индустар-50)をカメラに付けての散歩です。

新型コロナウイルスの影響でほとんどの建物が内部の見学ができませんでした

アクセス

JR中央線 武蔵小金井駅から徒歩約25分。都立小金井公園の中にあります。

都道15号をまっすぐ北上するだけなので迷うことはないと思います。

 

センターゾーン

江戸東京たてもの園の出入り口である旧光華殿を通り抜けると、歴史的な建物が展示されているエリアに入ります。生憎の空模様でしたが、多くの人が傘をさしながら建物を見たり写真を撮っていたりしていました。どこから見ようか迷いましたが、センターゾーン→東ゾーン→西ゾーンという順番で回ることにしました。

西川家別邸

東ゾーンに向かう途中、こちらのお宅の前を横切ります。製糸会社を設立した実業家西川伊左衛門氏の別邸。1922年、昭島市に隠居所、接客用に建てられたようです。

西川家別邸

軒下には江戸風鈴がたくさん吊り下がっていました。晴れていれば涼しげだったかもしれません。

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皇居正門石橋飾電燈

西川家別邸を過ぎ、東ゾーンに向かうと小川にかかる橋があります。この橋の横にあるのが皇居正門、二重橋に設置されていた飾電燈です。6基あったものの一つで、明治20年頃に設置されたものだそうです。

皇居正門石橋飾電燈

上野消防署(旧下谷消防署)望楼上部

近くには上野消防署の望楼上部が展示されていました。上部というだけあり、高さ約23.6mの望楼の一部です。望楼自体は1970年まで実際に火の見櫓として使用されていましたが、老朽化に伴い解体されここに移築されたとのこと。外観がかわいらしくムーミンに出てくるスナフキンの家のようです。

上野消防署(旧下谷消防署)望楼上部

東ゾーン

昔ながらの商家、銭湯、居酒屋などが建ち並んでおり、まるで「千と千尋の神隠し」のような世界です。

村上精華堂

白い壁が印象的な村上精華堂。台東区池之端に建っていた化粧品屋のようです。パンフレットには「正面に人造石洗い出しで、イオニア式の柱を表現するなど、当時としてはとてもモダンな造りとなっています」と記載されていますが、今でも十分モダン。

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丸二商店(荒物屋)

丸二商店(荒物屋)

大和屋本店(乾物屋)

1928年、港区白金台に建てられた乾物屋。

大和屋本店(乾物屋)

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子宝湯

東ゾーン最奥にあるのがこちら、子宝湯。

神社仏閣のような大きな建物で、「千と千尋の神隠し」の油屋を描く際に参考とした場所とのこと。

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こちらは靴を脱いで建物の中を見学することができました。脱衣場も浴室も天井が高くて開放的。男湯と女湯を仕切る壁が低く、容易に覗けてしまうのではないかと思うくらい。当時は寛容だったのでしょうか。

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鍵屋(居酒屋)

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武井三省堂(文具店)

奥に見える建物が明治初期に創業した武井三省堂。内部は「千と千尋の神隠し」に出てくる釜爺の仕事場にそっくり。

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西ゾーン

西ゾーンは様々な建築様式の住宅が展示されています。

八王子千人同心組頭の家

こちらの茅葺き屋根の家は、八王子に配備された徳川家の家臣の屋敷。

八王子千人同心組頭の家

デ・ラランデ邸

1956年から三島雲海氏が住んでいたこちらの住宅は、元は平屋の洋館でした。

デ・ラランデ邸

常盤台写真場

板橋区常盤台に建てられた写真館兼住宅。

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前川國男

切妻屋根が印象的なこちらの建物は、建築家故前川國男氏の自宅。戦時下の1942年(昭和17年)に品川区上大崎に建てられています。玄関は裏手にあります。

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新型コロナウイルスの影響で室内には入れないのが残念ですが、玄関横から開放的なリビングを覗き見れました。天井が高い吹き抜けに。文字どおり爽やかな風が吹き抜け、格子からは日の光が美しく入り込みます。こんな空間で飲むコーヒーは格別な一杯になりそうです。

と思うや否や、夏は日差しが暑そうだとか、冬は寒そうだとか、凡人の考えが頭を過ぎります。ものも溢れてこんなにすっきりした空間も維持できなさそうです…。

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ダイニングテーブルの上にあるペンダントライトもおしゃれ。

リビングの両脇は書斎や寝室があり、二階はロフトになっているようです。コロナが落ち着いた頃にもう一度来てみたいです。

 

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田園調布の家(大川邸)

大田区田園調布に建てられた住宅。1925年の建築です。

田園調布の家(大川邸)

ぐるっと一回りし、出入り口の旧光華殿に戻ってきました。見学中ずっと降っていた雨も止み、西の方には青空が見えていました。

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新型コロナの影響で内部はほとんど見学できませんでしたが、充実した展示で大満足の一日でした。また落ち着いた頃に来たいねと話しながら、駅までぶらぶら歩いて帰りました。

 

江戸東京たてもの園

〒184-0005 東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)

 042-388-3300(代表)

www.tatemonoen.jp